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音楽やカルチャーについて、気になることを気ままに書いています。

2017年マイベストディスク~邦楽編~

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少し間が空いてしまったけど、前回の洋楽編に引き続き年末恒例のマイベストディスク邦楽編を更新。

↓前回更新の洋楽編はこちら 

ai-tkgk.hatenablog.jp

このマイベストディスクは以下内容でまとめています。

  1. 2017年1月~12月の間にリリースされた音源(フィジカル・デジタル両方)
  2. アルバムもしくはEP携帯のものが対象(シングル形態でのリリースは除外)
  3. 10枚内での順位はなし。アーティスト名の50音→アルファベット順で記載
  4. 各ディスクには、簡単な感想とspotifyのリンク貼付あり
    spotify配信がない場合は、You TubeのMV動画を貼付

ということで、今回は邦楽編の10枚を。早く書きたいと思っていながらも、各ディスクへの愛から長文になりがちでなかなかまとめられませんでした。。。。

1.あっこゴリラ「GREEN QUEEN」 

GREEN QUEEN

1月に開催された女性ラッパーNo.1決定MCバトル「CINDERELLA MCBATTLE」の初代女王に輝き、2017年の弾みをつけたあっこゴリラ。勢いそのままに1年を通じてコラボした、様々な分野のミュージシャンとの楽曲をまとめたのが今作。STUTS、食品まつり a.k.a foodman、PARKGOLFといったトラックメーカーたちとのコラボも楽しいけれど、やはり注目は向井太一、永原真夏といった他ボーカリストとのコラボ作。個人的に一番クセになったのはITSUKA(Charisma.com)とのコラボ作「PETENSHI」。OMSBの不規則なビートを刻む難易度高めのトラックに、感情表現豊かなあっこゴリラと、冷たく無機質にラップするITSUKAのフローが重なり合う楽曲は何度聞いても面白い。

2.ナードマグネット「MISS YOU」

MISS YOU

パワーポップ大阪代表”を掲げるフォーピースバンド・ナードマグネットがリリースした6曲入りEP。昨年から今年にかけて知名度を大きく上げた印象がある彼らだけど、実は10年以上のキャリアがある苦労人。
ちょっとナードな見た目に、前面に出るギターと思わずこぶしを突き上げたくなる泣きのメロディ、そして非リア充の目線に立った歌詞・・・僕が大好きな王道パワーポップをすべて体現してくれている彼ら。表題曲「MISS YOU」はギターの力強いイントロから合唱必死のサビに雪崩れ込むし、敬愛するHOLIDAYS OF SEVENTEENへの愛を感じる「DUMB SONG」も素晴らしい。なによりもグッとくるのは日本が誇る泣きメロバンド・GOING UNDERGROUNDの名曲「グラフティー」のカバー。ナードマグネットがやらねば誰がやるというくらいの完成度で、ライブでも盛り上がること間違いなし(原曲ではキーボードで弾いているリフを、ギターで再現しているのがにくい)。
高速4つ打ちに少し飽きが見え始め、ブラックミュージックに影響を受けるBPM遅めのバンドたちが市民権を得始めている今だからこそ、パワーポップのスピード感も受け入れられる土壌ができてきたはず。2018年の大躍進を予感させる注目の1枚。

3.向井太一「BLUE」

BLUE

 福岡出身の大型新人SSW・向井太一君の1stフルアルバム。後ほど改めて書くけれど、気がつけば彼の音楽にかなり耳を奪われていた2017年だった。歌のうまさは去ることながら、声の艶やかさもずるいなぁと思う。それに加えて目立つのがボーカルを際立たせるトラックの面白さ。様々なアーティストを共同プロデニューサーに迎えた今作は、通常のR&Bの枠組みに収まらないアンビエントやエレクトロ色が強いものや、ファンクやブギーテイストのものまで様々だけど、これまでの作品以上に音の輪郭がはっきりと見えるものが多い。リードトラックの「FLY」の伸びやかさは、これまでよりさらに奥のリスナー層に届くこと間違いなし。

4.FINLANDS「LOVE」

LOVE

 2017年の邦楽ロックシーンの大きなトピックのひとつに“ガールズバンドの隆盛”を挙げる人は少なくないのではないかと思う。その中でも個人的に断トツイチオシで、かつ2018年以降のガールズバンドシーンを引っ張っていってくれるバンドだと思っているFINLANDSのEP。
塩入冬湖の持つ、時折高音でうわずるような特徴あるボーカルから紡ぎだされる冷めているようで恋愛という沼から抜けられない歌詞と、それらを下支えする演奏力がバッチリはまったのが今作なのではないかという印象。収録曲の中で一番のお気に入りは「オーバーナイト」。とうとうと歌われる『夜に待つ 狂ったコードに名前をつけてもあんたのことしか歌えないしさ つまんない』という歌詞に、このバンドの世界観が凝縮されているからだ。彼女たちのことを『好きだ好きだ』と言っていたら、縁に恵まれツアーファイナルのオフィシャルレポートを担当することになったのも今年のいい思い出。

 

diggity-jp.net

5.Hi-STANDARD「THE GIFT」

THE GIFT

 こんなこと言ったら元も子もないんだけれど、Hi-STANDARDのアルバムが18年ぶりにリリースされたという事実だけで僕にとっては既にベストディスク。ただ、そんな感傷を簡単に笑い飛ばしてくれるくらい素晴らしい作品であることも間違いない。
直球のメッセージソングや、冗談・比喩表現を歌詞に織り交ぜた楽曲たちはやっぱりハイスタ。ただ、サウンドに関しては、この18年間でそれぞれが積んできた音楽的キャリアがしっかりと反映されて、懐かしいだけで終わらない“今のハイスタ”を感じされてくれる(特に近年セミアコギターを愛し、オールドロックンロール的なアプローチに傾倒してきた横山健が与える影響が大きいのではないか)。今作のリリースに当たり彼らはインタビューで『The Giftは自分たちからファンへの贈り物という意味でなく、人は誰しも生まれながらに与えられたギフト(才能)があるという意味』という発言をしていた。ただ、それでもやっぱりこれは僕たちに対して彼が送ってくれた贈り物に違いない。待っててよかった、本当に。 

6.King Gnu「Tokyo Rendez-Vous」

Tokyo Rendez-Vous

音楽メディア・Spincoasterが定期的に開催しているイベント「SPIN.DISCOVERY」に出演するとのことで事前にアルバムを聞いてみたところ、一気に引き込まれてしまった作品(元々は共演のROTH BART BARONとTempalay目当てで行くつもりだった)。King Gnuへ改名前のSrv.Vinciの頃から耳の早い音楽リスナーたちの間では有名だったらしく、知らなかったことが悔やまれる。
“トーキョー・ニュー・ミクスチャー・スタイル”を掲げる彼ららしく、オルタナティブ色の強い楽曲たちの中にもジャズやファンク、ソウルといったブラックミュージックのエッセンスがちりばめられていて思わず唸ってしまうポイント多し。ちなみにライブもタイトでかっこよかった(HIP HOP好きのドラマーの出す音がとても好き)。音楽面白くてイケメン。2018年にはばたくこと間違いなしなので要チェックを!  

7.LOSTAGE「In Dreams」

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ここ数年、音楽はどんどん開かれていると思う。YoutubeSpotifyをとおしてそもそも無料で聞くことができるし、スマホさえ持っていれば月額1,000円程度の支払いでほとんどの音楽にどこからでもアクセスが可能だ。
LOSTAGEの7thアルバム「In Dreams」は、それらのどれからもアクセスすることができない。ライブ会場か奈良にあるTHROAT RECORDS店舗もしくはオンラインショップでしか買うことができないからだ。それはすなわち、“バンドから直接買う”ことでしか手に入れられないことを意味する(THROAT RECORDSはBa.&Vo.の五味さんが経営している)。
僕は基本的に、音楽はどんどん開かれて身近なものになっていけばいいと思っているけれど、一方で少し手間をかけて手に入れ、手元に置いておくということにノスタルジー的な愛情を感じていたりもするし、音楽業界におけるある種のキーワードになっている“リアルな体験”への共通性を感じていたりもする。そういった意味で、2017年におけるこの売り方にとても意義を感じる(僕自身は店舗で五味さんから直接手渡しで買わせてもらった)。
もちろんアルバム自体も素晴らしい。まず何より感じるのは、これまでのアルバムの中で最も五味さんのボーカルに温かみを感じること。比較的激しめの楽曲であっても、そこで歌われる声がとても優しい。きっとそれは、DIYで活動を続けていることや尊敬するミュージシャンの死などの経験が、彼らの心境に大きな影響を与えたからなのではないだろうか。LOSTAGEには、これからも彼らの温度感、スピード感で活動を続けていってほしいなぁ。  

8.SALU「INDIGO」

INDIGO(通常盤)

2017年のジャパニーズHIP HOPシーンを振り返ると、2016年から続くMCバトルブームの次が少し見え始めた年だったのかなぁというのが個人的な印象。KANDYTOWNやPUNPEE、BAD HOPといったら若手からベテランまでが次々と話題になる新作を出してフェスやテレビに出演、さらには雑誌の表紙を飾り、バトル以外の部分でもメインストリームに顔を出し始めた。
そして(意図的かどうかは別として)バトルシーンとは一定の距離を取りながら活動を続けてきたSALUが、とても気持ちよくノレる快作をリリースしたのも今年。MCバトルブームの影響もあり『HIP HOPといえば・・・』というイメージのついている“ライム”よりも“フロウ”重視のスタイルで活動してきた彼。もちろん今作でも流れるように気持ちよくフロウすることに力点を置いたトラックを中心にしつつ、それをうまく乗りこなしている(客演も豪華で、バトル界のレジェンド・漢a.k.a.GAMIとも共演していたりしているのも面白い)。
特に僕が大好きなのがゆるふわギャングを客演に迎えた「夜に失くす」。印象的なギターリフとキックに乗せて、各々の夜の超え方をゆるやかにラップする、お酒を片手に持ちながら流したい楽曲(MVもおしゃれ!)。  

 9.Suchmos「THE KIDS」

THE KIDS(通常盤)

 2017年、邦楽バンドシーンで最も名を上げた(目立った)といっても過言ではないSuchmos。音楽雑誌・MUSICA年末号でのインタビューで再確認できたのだけど、彼らは『やりたいことはとことんやる』『リスペクトしている仲間たちとかっこいいことを突き詰める』っていうことを絶対軸にしているから、音楽のグルーヴ感もバンド然としたかっこよさもブレないというイメージ。
彼らの代表曲となった「STAY TUNE」のキャッチーさとは対照的に、アルバム全体を見渡すと、彼らが愛するブラックミュージックのエッセンスをふんだんに取り入れつつ、引き算方式で音を際立たせているグルーヴィーな作品。リズムの刻み方とベースの音の立ち方が全編通じてかっこよい。若者にはきっとこの感じは新しいだろうし、ある程度の年齢以上の人には懐かしい、つまりは、全方位的に世代を掴むことができる音を持っているというずるさが彼らにはあるのだ。
アルバム後半のメロウなパートへと繋ぐブリッジ的な役割を果たしている「MINT」が好きなのだけど、『錆びた弦でいい 破けたジーンズでいい 孤独な夜があってもいい 何も無くても笑えていればいい 何も無くても歩けてさえいればいい』というフレーズは今年のマイベスト。なかなかこんなこと言えないし、ましてや言っても様にならないよ、普通。やっぱりずるい。 

 10.YULE「Symbol」

Symbol

かれこれ2年くらい前からオススメのバンドを聞かれたらyuleを紹介し続けていたのだけど、ついに今年出たアルバムがこの「Symbol」。
”古代ヨーロッパの民族の間で冬至に行われた祭 ”という意味の名前を持つ彼らの音楽は、トラディショナルなフォークサウンドに男女ツインボーカルとグロッケンやマンドリンが合わさることで、どこか北欧童謡のような神秘性を感じさせてくれる(一時期僕は人に彼らを勧めるときに”BUMP OF CHICKEN meets Sigur ros”と説明してた)。彼らは評するときに、バンドという単語よりは楽団という単語の方がよりしっくりくるのは、一度聞いてもらえばきっとわかってもらえるはず。
今作は、過去にsoundcloudやデモCDで発表済みの楽曲が多く含まれているけど、全てリアレンジで収録されており、そのどれもがより神秘性を帯びている。歌詞の世界も自然界や神話をモチーフにしているものが多く、なんとなくBGMのように聞くことができるのも大きな魅力のひとつに感じている。ちなみに彼ら、ライブになると音像が一気に強力になる(シューゲイズテイストが一気に増す)ので、その表情の変化もぜひ目撃してもらえたら。

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以上が2017年に僕が選んだ邦楽のベストディスク10枚。洋楽に比べると若手とベテランのバランスが比較的取れてる10毎になった。そして実は、10枚中3枚に向井太一君が関連してたりもする。今年、なんとなく耳に入ってきて『いいなぁ』と思う曲には、大抵彼が客演で参加していたという不思議(きっと声や歌い方が自然にすっと入ってくるのだと思う)。この調子でいくと、2018年も向井太一君マイブームは続きそうです。。