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Ai_Tkgk's Soliloquy

音楽やカルチャーについて、気になることを気ままに書いています。

残響SHOP閉店の話

雑記

■2015年5月10日 残響SHOP閉店

本日(15年3月9日)、残響レコードが運営するレコード屋「残響SHOP」が15年5月10日いっぱいで閉店することが発表されました。

 

HPによると「通常業務と店の運営の両立が難しく続けることが困難」ということが主な理由のようです。渋谷でちょっとした時間が出来た際にはよく立ち寄っていたレコ屋なので個人的にもとても残念ですし、Twitter上でも閉店を惜しむ声が次々に寄せられています。

 

■革新的な手法が新鮮だった残響SHOP

残響SHOPといえば、「残響系」という括りを生み出した残響レコードが運営するだけあって、ポストロックやエモをベースにした勢いのある若手バンドに出会えるという圧倒的な安心感がありましたし、CDやLPだけでなく楽器周りの機材を取り扱っていることも新鮮でした。

また、アーティスト名やタイトルを隠したCDを視聴して気にいったモノを購入してもらうという「ブラインド販売」という手法はとても画期的でした。 誰かが編集した事前情報による先入観を徹底的に排除したうえで、自らの耳で聴いて良いと思ったモノを購入してもらうという手法は、情報戦によるPRが主流になっている状況に対するアンチテーゼ的なアプローチで「純粋に様々な音楽に触れてもらいたい」というショップ側の想いを体現したうえ、結果もしっかり出すという点で注目を集めていました。 参考:Drillspinコラム第34回:店頭のCDを見せずに聴かせたら売上が4倍に伸びた!

 

また、「残響塾」と称した音楽周りに関する様々なテーマのワークショップを店内とustreamで行う等、音楽との関わり方を消費者である客側と共に考えていくという試みも行い、とにかく音楽に対して自ら行動をとっていってる人達だなぁとの印象が強かったです。

ただ、個人的には残響SHOPの魅力は、音楽好きが集まって交流することができる「溜まり場」的要素だったのかな、と思います。 特に印象的だったのが店員でした。レコ屋の店員というと気難しく話しかけづらそうな強面系(こういう人は仲良くなるととても優しい)や、必要なことは話さず淡々と仕事を行う系(大手チェーン店に多い)のどちらかが多いんですよね(嫌いじゃないけど)。 一方で、残響SHOPの店員はいつも明るく、眺めているCDの紹介や目の前のお客さんが好きなアーティストに近いアーティストをリコメンドしてくれたりと積極的にコミュニケーションをとってくれます。また、好きな音楽や先日見たライブの話でお客さんと盛り上がっている姿を見かけることもしばしば。時には好きなアーティストがかぶったお客さん同士を店員が繋いでいるところをみたこともあります。概して音楽好きは自らが生活しているコミュニティで同じ温度感で盛り上がれる相手がいることが少ないため、こういう関わり合いは好意的に受け止められることが多いように思えます(逆に、静かに音楽を探したいって人には向かない店かもしれませんが・・・) 。

一人一人のお客さんと深いコミュニケーションを取っていくことは店の効率性という観点からはあまり好ましくないのかもしれません。店員の数もそこまで多いわけではないので、あるお客さんと盛り上がっていることによって他のお客さんの対応が遅れるという事態も起きかねます。 ただ、残響SHOPの店員たちを見ていると「この人たち、本当に音楽が好きなんだろうなぁ」と感じさせる接客を見ていると、そんな対応の遅れもどことなく許せてしまったり、「ちょっと時間が出来た時にここに来れば音楽の話をしながら時間を過ごせる」という安心感のもと、いつの間にか足を運びたくなっている自分に気が付きます。

こういうコミュニティ要素は、一昔前にあった個人経営のレコ屋には見受けられたこともあったのですが、ここ最近はそういったレコ屋がなくなってきていたので、僕にとっては懐かしく、若い世代の子達にとっては新鮮かつ貴重だったのではないでしょうか。 CD不況と言われ街のレコード屋が次々に姿を消していく中、新たな取り組みで客とコミュニケーションしながら結びつきを強めていった残響SHOPは、ある意味でとても稀有で貴重な存在なのだと思います。閉店まではまだ時間があるので、僕もちょいちょい足を運んで交流を深めていこうと思っています。また、店長でありcinema staffのギタリストである辻君は都内にレコ屋をオープンさせるため行動しているとのことなのでこちらも要注目ですね。

ではではみなさん、渋谷は残響SHOPでお会いしましょう!