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Ai_Tkgk's Soliloquy

音楽やカルチャーについて、気になることを気ままに書いています。

2013年マイベストディスク〜邦楽編〜

総括

2013年マイ年間ベスト企画第二弾です。 前回の「2013年マイベストディスク〜洋楽編〜」に引き続き、今回は「邦楽編」です。

繰り返しになりますが、本企画は以下二点のルールで書いています。

①洋楽と邦楽からそれぞれ5枚ずつアルバムをノミネート。その中から洋邦それぞれの「マイ年間ベストアルバム」を発表。
②あくまでも「僕個人」が2013年に発売されたアルバムの中で特に影響を受けたものを選出。

【ノミネート】クリープハイプ / 吹き零れる程のI、哀、愛 クリープハイプ_吹き零れる程のI、哀、愛.jpg

結構意外に思われることが多いんですが、僕、クリープハイプ好きなんですよ(笑)おそらく、今年の頭くらいに纏めた「SNSの普及に伴うライブハウス文化の変容について①」が僕が彼らを好きでないと思われている理由なんだと思うんですけどね。。。 僕は、クリープハイプの音楽は「都会への憧れを抱く地方都市に在るリアル」「人間関係・男女関係をうまく立ち回れず泥沼にハマっていく人のリアル」だと思っています。決して「渋谷や下北沢に在るリアル」でも「コミュニティカーストの上位層にいるリア充のリアル」でもないんです。みんなで明るく合唱する「SEXしよう!」ではなく、「愛しいだけじゃ足りないし 嬉しいだけじゃ不安だし 優しいだけじゃ意味ないし」とうつむいて呟くようなもんなのです。 2013年、名前が売れた事によりさらに如実に鳴った気がしますが、彼らの状況ってそういう音楽を鳴らしながら、ステージの下で支えているのはその対極にある人達がメインっていう不思議な状況ですよね。基本的にライブの楽しみ方は「各自が好きにやってくれぃ」スタンスですが、合唱、モッシュ、リフトが溢れるステージ下と楽曲の持つ映像のズレはいつも不思議な違和感を感じます。ある方が「クリープハイプの音楽で"盛り上がっている"人達は、決して自分がなることのない人の状況や感情を疑似体験してるのだ」と言っていたけれど、結構頷ける私的だなぁと思います。なんにせよ、バンドが変わっていくのか、ファンが変わっていくのか、それともこれからもこのズレを内包したまま続いていくのか、彼らに対する興味は尽きません。 シングル曲のキャッチーさに対して、ギターをザクザク切り刻むような激しめの楽曲がうまく散りばめられているところに、ロキノン系バンド代表格の意地、みたいなものをとても感じられたアルバムでした。キャッチーな曲とソリッドな曲がバランスよく入っているので一枚通して聴いていると面白いです。ただ、フェス受けするノリのいい曲が受けてるバンドって増えてきているので、そこに拘らず今後は「あ」みたいな感情だだ漏れみたいな曲作っていって欲しいな、とか思ってます。

【ノミネート】BRAHMAN / 超克

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リリース当時、「曲が日本語詞」みたいなことが色々書かれてた気がしますが、それでいったら「ANSWER FOR...」「BASIS」「ARRIVAL TIME」みたいに初期から日本語詞の曲はあったわけで、各メディアの切り口には「?」を持っていた記憶があります。当時、こんなこと呟いてますね。

BRAHMANって長い活動の中で伝えているメッセージは本当にぶれてないと思うんですよ。「生と死」について。ただ、3.11以降、彼らの言う「気高い生き方」の意味合いは変わってきてるのかな、と感じます。自分の一人の命ではないのだから、どんなにがむしゃらでも一見かっこ悪くてもひたすら生き抜き往生する。そんな風になってきたと思うんです。だから、このアルバムでは、これまでの曲ではあまり見受けられなかった「残される者」の目線がより強く描かれている気がします。そして、音自体も、相変わらずの轟音ではあるものの、これまでよりも「優しい」印象を受けるんです。だから、これまでのように気持ちを盛り上げたい時だけでなく、落ち着かせたい時も含め、様々な場面で聴く機会の多いアルバムになりました。 震災前、このバンドは本当に不定期に活動するバンドでした。でも、3.11以降は継続的に活動を続けています。根本的なメッセージにブレはないものの「自分たちの美学」から離れ、「周囲も含めた」美学への変化は彼らにとって確実にプラスになっている筈。最近は若いバンドとの共演も格段に増えており、今後の更なる活動を期待してなりません。

【ノミネート】チャラン・ポ・ランタン / 悲喜劇 チャランポランタン_悲喜劇.jpg
昨年半ばくらいから、凄腕アコーディオンとパワフルなボーカルで盛り上げ上手な姉妹がいるって噂を聴いていたんです。2013年、実際にカノジョ達をRSRで見る事ができ、一気にハマってしまいました。

一言で表すなら「サーカス」を見せてくれるような2人組です。シャンソンやら昭和歌謡やらをベースにしつつ、小気味よいメロディに載せて、様々な主人公の数奇な人生を歌う、聴いていて全く飽きません。 なにより妹・ももの歌唱力が本当に凄い。RSRではリハで美空ひばりのカヴァーを歌っていたのですが、お世辞抜きに本家に負けないくらいの迫力でした。 今回、ライブ盤を選んだのは、「生」こそカノジョ達の良さが伝わるからです。小春の毒舌MCはキレキレだし、ももの歌声はますます迫力を増すし。ライブの雰囲気や息づかいがそのまま伝わってくる良盤です。限定販売なので手に入りづらいと思いますが、ぜひ手に取って欲しい。 (ちなみに、ももちゃんはPerfumeのあーちゃんに似てると思うのは僕だけでしょうか 笑)

 【ノミネート】MOROHA / MOROHAⅡ

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MOROHAは僕にとって、HIP HOPという概念を大きく変えてくれた人達です。編成はMCとアコースティックギターのみ。DJもいなければ打ち込みもない。アルペジオとカッティングを多用したギターの音色の上に、ただひたすらに早急なフロウを乗せるのみ。 そしてそこで歌われるのは、「天下を取る」という大きな夢と、その夢に歯牙すらかからない己の現状。ただ赤裸々に現状に対する情けなさと悔しさを語り、それでもなお地面に這いつくばりながらも上を見続ける。 初めて彼らの楽曲を聴いたとき、感情の情報量の多さにただただ圧倒されました。そして、リリックのひとつひとるが突き刺さって抜けなくなるんです。

彼らのリリックは全くかっこつけたところなんてありません。とにかく汗と泥にまみれたリアルな言葉なんです。だからこそ、日々壁にぶつかりながらそれでも前を向かねばならない僕らの心を捉えて離さないんでしょう。 このアルバムには沢山奮い立たされるフレーズが山程あります。三文銭という曲の「DreamはComeしてTrueにならず DreamはGoしてTrueにしていく」というリリック。革命という曲の「今年こそ?来年こそ?何年生きれるつもりで生きてきたんだ?今日が終わる いや今が終わる そう思えたヤツから明日が変わる」。 MOROHAを聴くと胸が痛くなるんです。でも、まだまだやれるな俺はって奮い立たされるんです。このアルバムはこれからもずっと聴き続けるんだろうな、そう思います。

【ベストディスク】bloodthirsty butchers / youth

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2013年5月27日、吉村秀樹氏が亡くなったというニュースを聴いて驚愕しました。そして信じられませんでした。だって、殺そうとしたって死ななそうなイメージの人なのだから。 僕にとってブッチャーズは、日本のロックのかっこよさを教えてくれた非常に大事なバンドです。高校一年生の頃、友人の家でRSR 1999で吉村さんが投げたギターがきれいな放物線を描く映像を見たとき、「日本のロックってなんてかっこいいんだろう」という言葉では表現できない感情を抱きました。そして、同時に「いつかこの人達のライブを見てみたい」と心に誓いました。 その2年後、ブッチャーズが出るライブに行った際、ライブ終了後、いいちこ片手に歩き回る吉村さんにばったり会い、興奮しながらRSRの思い出を語りました。吉村さんは満面の笑顔で僕の頭を叩いて「20歳超えたらライブハウスで酒飲むか?ん??」と言いながらピックをくれました。 それ以降もブッチャーズの音源を買い、ライブにも足を運び続けていました。22の時にどこかのフェスで吉村さんを見つけ、乾杯することもできました。 ブッチャーズの魅力はなんといっても「音像」です。彼らの楽曲は、まるで台風の目の中に立っているかのように360°を駆け巡る音の嵐の中にあって、なんとなく身体を任せたくなるような心地良さと少しばかりの切なさが同居しています。彼らのどのアルバムにもその要素はふんだんに盛り込まれている訳ですが、死の直前、吉村さんはこんなツイートをしていました。

実際、届いたアルバム「youth」は、吉村さんの死という事実関係なく、間違いなくブッチャーズの最高傑作です。ドラムの重たいリズムからかき鳴らされるギターが乗り、徐々に盛り上がりをみせる「レクイエム」からスタートし、「ディストーション」「サイダー」といったアッパー目な曲を中盤に挟みつつ、ギターソロを弾き倒しつつ収束に向かう「アンニュイ」で締める51分間。スピーカーで爆音にしてかけると、四方八方から様々な音が向かってくるにも関わらず、波間に漂っているような心地よさを感じられる、ブッチャーズの持つ「音像」がいかんなく発揮されています。これまでのブッチャーズの持っていた音像を軽く飛び越えているだけに、この次、をどうしても期待してしまいたくなってしまうのが悔しいです。 吉村さんが亡くなった時に、多くの音楽関係者が「ブッチャーズなくして今の邦楽シーンはない」とツイートしていました。ブッチャーズは自らシーンを担い、後輩達にも大きな影響を与えてきた、日本のロックを語る上で書かせない存在なのだと思います。ブッチャーズは止まりましたが、ブッチャーズの音楽は止まりません。今後も色々な場所で、色々な人に、唯一無二の音像を届け続けてほしいと思います。 うことで、今回も思いっきり感情込みの5枚になりました。 2013年はアイドルやボカロ、ポップス等、これまであまり触れてこなかったジャンルにも多数触れる機会があり、様々な発見と出会いがあった年でした。 なんだかんだで今年の5枚はロックよりになりましたが、おそらく来年は5枚の中に上記ジャンルも入ってくると思います。繰り返しになりますが、今年の音楽シーンは邦楽も洋楽も名盤ぞろいでしたし、様々なサービスやカルチャーが生まれ、まさに「今が一番面白い」一年だったと思います。 来年はどんなアルバムたちが出てくるのか、今からとても楽しみです。