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音楽やカルチャーについて、気になることを気ままに書いています。

HOPE THE FLOWERS「Nature of EVERYTHING」(Thai)

先日遅めの夏休みをとってバンコクへ。友人に紹介され訪問したレコードショップ・DJ SIAMで勧められたのがHOPE THE FLOWERS(以下、HTF)の「Nature of EVERYTHING」だ。

HTFは、Narongrit Ittipolnavakulのソロプロジェクトであり、2013年より活動をスタート。現在はサポートメンバー4人を加えたバンド体制で活動を行っているとのこと。タイ中心の活動、かつ結成4年程度と比較的若いバンドであることから、日本国内において彼らに関する情報はそう多いとは言えない。しかしながら、オフィシャルHP内のプロフィール「puFF。」エントリー内インタビューから、HTFの音楽背景を感じ取ることができる。

Hope the Flowers, a solo project by Narongrit Ittipolnavakul. Like watching the spring sakura blooming, winter snow falling while listening to Japanese rhymes, the combination of the powerful rhythm with the sweet melody, inspired by his musical experience and all the component he like, resulting an emotionally touching instrumental post rock compositions.
HOPE THE FLOWERSはNarongrit Ittipolnavakulのソロプロジェクト。日本詩を聴きながら満開の桜や舞い落ちる雪を見ることや、彼の音楽的な経験や彼の好きなものたちから影響を受けたパワフルなリズムと甘いメロディが、エモーショナルで琴線に触れるポストロックを生み出している)

引用元:Hope the flowers official HP | Facebook

僕は特に日本の文化、日本の映画が好きです。
桜がはらはら舞い落ちるところ、雪が降ってくるところをいつか自分の前で見れるのは最高の夢で、それが体験できたら自分にとっては人生で最高の幸せだと思います。
そういう夢が持っていることで、曲づくりの時は日本やアジアの穏やかな感じとヨーロッパロック系の重みがあるリズムパーツを その2つの組み合わせで再現させようと思っています。
引用元: Hope The Flowers – puFF。

Narongrit自身が日本好き、かつ日本のバンドから多大な影響を受けているということもあり、HTFの楽曲たちは、タイで生まれたものでありながらどこか懐かしいものを感じる。

僕自身はポストロックを、卓越したスキルを持つプレーヤーが結集してお互いのテクニックをぶつけ合いながら隙間という隙間を音で満たしていくタイプと、音の隙間を意図的に生み出して大きな感情の波を作っていくタイプの2つに大別して捉えることが多いが、HTFの音楽は後者にあたると言える。

特にこの「Nature of EVERYTHING」は、全編をとおして日本的な懐かしさを感じさせながらも、大きな音のうねりの中に異国情緒を感じさせるギターとキーボードの旋律が散りばめられているのが特徴だ。この心地よい浮遊感に満たされたメロディーと、地球や太陽、空や川といったテーマが融合して生まれる楽曲たちが、まるで子供の頃に熱中したRPGの世界にいるかのような感覚を味あわせてくれるのだ。

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東南アジアの国々を訪れるたびに感じるのは、彼らの日常に当たり前のものとして信仰があり、祈りがあるということだ。そういったものからもたらされる心の平穏や安らぎが、そこで生まれる音楽にも影響を与えていて、悠久を感じさせる唯一無二のメロディーが形成されていく。特にポストロックはその傾向が色濃く出やすいのではないだろうか。

 HTFは2017年11月に新アルバムを発売予定とのこと。こちらもすでに予約済なので到着を楽しみに待ちたい。

 

 

Nature of Everything

Nature of Everything

 

 

Hi-STANDARD「The Gift」について

「MAKING THE ROAD」以来、実に18年ぶりとなるHi-STANDARD(以下、ハイスタ)のアルバム「The Gift」が発売された。2000年8月、彼らの音楽に頭を金づちで殴られたような衝撃を受けて以来ずっと待ち続けてきた新作アルバムは、僕にとってまさしく“贈り物”のような作品だ。

アップデートされたハイスタ

(横山)「ALL GENERATIONS」の歌詞を聴いてもらいたいんだよ。“ハイスタ世代”って言葉が定着しちゃってるけど、冗談じゃねぇよ。「どんな世代も来い!」っていう感じ。
(難波)今好きになった子も、これから好きになる子も、みんなハイスタ世代だよ。よろしくね。

引用元:Hi-STANDARD 「The Gift」独占Special Interview!!

本作品リリースにともなう公式独占インタビュー中の発言にもあるとおり、今作は90年代当時からハイスタをリアルタイムで追いかけてきたファンだけでなく、彼らに影響を受けた若手バンドたちをとおして憧れを抱いてきた若い世代にまで届けられた贈り物だ。そしてその贈り物は、彼らの新作を待ち望んできたファンたちを良い意味で裏切ることを狙ったかのような、まさに2017年の今を表現した作品に仕上がっている。

このアルバムの構成から感じられるのは、(みんなが期待する)これまで通りの“尖ったパンクキッズのハイスタ”から、様々なすれ違いから和解という意識の変化や各メンバーの10年以上に渡るソロ活動がフィードバックされて“人生の酸いも甘いも知って成長した大人のハイスタ”を、1枚のアルバムを通して見せていこうとする意図だ。

冒頭に触れた、このアルバムを手に取る全ての世代が”ハイスタ世代”であるというメッセージをストレートに伝える「ALL GENERATIONS」から始まり、人は誰しもが各々に与えられたギフトを持っており、それを誇って生きて欲しいというハイスタなりの応援歌である「The Gift」へと続く。この流れは、まさに「MAKING THE ROAD」の時代を感じさせる、僕らが待ち続けたあの頃の彼らのイメージだ。


Hi-STANDARD -The Gift(OFFICIAL VIDEO)

SNSで感想を見ていると、BPMが緩やかになる6曲目「My Girl」が今のハイスタを感じさせる今作の分岐点という意見が多いようだが、個人的には5曲目「Time To Crow」こそが、それまでに感じさせるこれまでのハイスタから、今のハイスタへの分岐点となる楽曲だと思う。

一聴すると早さや比喩的な歌詞から当時のキッズさを感じさせるものの、この楽曲の特徴的なリフはギターの音の鳴り(響き)みたいなものをうまく引き出したもので、ここ数年で箱モノギターに傾倒しロックンロールに立ち返ったアルバム「SENTIMENTAL TRASH」を完成させた横山健でなければ生み出せなかった、オールディーズを感じさせるものになっている(少なくても90年代のハイスタには出てこなかったフレーズに思える)。


Ken Yokoyama -A Beautiful Song(OFFICIAL VIDEO)

結果として、この曲をブリッジにして、BPMが落ちつつもハイスタのエッセンスを失わない、大人のパンクロックな楽曲たちへ、耳とテンションがうまくフィットするようになっているのではないだろうか。

2011年の活動再開以降、長い時間をかけて少しずつバンドとしての感覚を取り戻してスタートラインに戻っただけでなく、バンドとしてのネクストステージに立つまでに至ったハイスタ。「The Gift」は、現時点で最大限の熱量が詰まったアルバムであることは間違いないのだけれど、こと彼らに関していえば、その後のライブをとおして一曲一曲をさらに磨き上げていくことが間違いない。そういった意味でもこれから始まるツアーを経て、このアルバムがどのように響くようになるのかが楽しみで仕方がない。

ハイスタ流のサプライズが考えさせてくれるもの

2015年に行った3本のライブ時に、『次は新作をリリースした上でステージに立ちたい』と言い続けてきた彼ら。

事前告知一切なしのシングル「ANOTHER STARTING LINE」(2016年10月5日発売)をサプライズリリースしてからちょうど1年後にあたる2017年10月4日にリリースされた今作も、ハイスタなりの遊び心に富んだ多くのサプライズが仕掛けられていた。

natalie.mu

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ひとつひとつの情報解禁について、リアルで面白いことをやる体験者各々が発信者として自らの感想を語るSNSでバズるという、自分自身の感覚や感想をシェアして個々人が繋がっていく、ある意味でSNSの原点みたいなものに立ち返った手法を取っていったハイスタ。

これは、活動休止前から『面白いことは現場で起きている』というスタンスで在り続けた彼らにとっては今までどおりのことかもしれないが、結果として今それをやること自体が新しいし、なによりこれらのアイデア出しをメンバーだけでなくPIZZA OF DEATHのスタッフから上がってきたということがとても面白く思う。

この時点でも充分みんなを喜ばせくれたのに、きわめつけはアルバムリリースに合わせて活動休止前のラストライブとなる「AIR JAM 2000」でのライブをノーカットでDVDリリースするサプライズまで仕掛ける手の込みよう。

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 活動休止前最後のライブを、新作と同時リリースすることで今と昔を地続きにしてファンを喜ばせ、一方で今のハイスタは単に昔の焼き直しでなく、活動休止後の17年間でメンバーが個々に行ってきた活動がフィードバックされた新しいハイスタなのだということを実感させたいのではないだろうか。このことを体験できることもまた、僕らに対しての贈り物のように思えてならない。

一方で、「ANOTHER STARTING LINE」から続く一連の現場(主にレコードショップ)を重視した販売方法は、ショップの数が極端に少なくなっている地方在住者にとっては、どんなに欲しくても手に入れることが難しいという問題も指摘されている。

現状、通販やDL販売にて対応をすることで日本全国どこでも手に入れられるような状況はできているものの、サプライズに対する体験性はどうしても感じることができないことは否めない。

僕個人としては、CDが売れずレコードショップが消えつつある現状に対して、今あるレコードショップに足を向かせようとするハイスタチームの姿勢はとてもカッコよく思う(実際、ハイスタの作品リリースをきっかけに久しぶりにレコードショップへ足を運んだ人も少なくないのではないだろうか)。

ただ、欲を言えば次なる一手としてレコードショップがなくなってしまった音楽ファンたちのために何ができるかをハイスタチームには考えて実行して欲しいし、なにか面白い打開策を打ち出してくれるのはないだろうかと期待をしてしまわずにはいられない。 

レジェンドバンドが当時の名声に乗っかってただ活動再開したのではなく、作品自体のみならずその販促方法も現役最前線のバンドと同様、フレッシュさを感じさせ続けているハイスタ。キッズをわくわくさせ続けてくれる彼らの活動を今後も目を見開いて追いかけていきたい。

THE GIFT

THE GIFT

 

 

 

音楽好き同士の飲み会には「CD交換会」がオススメ!

昨年初頭、飲み会帰りのツイートが思いのほかRTされました。

今回はこの「CD交換会」について、書いてみたいと思います。

まずは、この「CD交換会」が始まったきっかけについて書きたいと思います。このブログを読んでくださっている人のなかには、音小屋という名前を聞いたことがある人もいるかもしれません。これは、音楽ジャーナリスト・鹿野 淳 (@sikappe) 氏が主催する音楽メディア人養成のための講座の名称です(2016年12月からは”ライブ・フェス・イベント”をテーマに、毎年5月のゴールデンウィークに埼玉県で開催される「VIVA LA ROCK」と連動した講座が始まるとのこと)。

そもそもこの「CD交換会」は、音小屋の講座のひとつとして、2013年夏に開催された「音楽の新しい聴き方、接し方、楽しみ方」(講師:音楽ライター・柴 那典 (@shiba710)氏)を僕が受講した際に、柴クラスのメンバーたちとの忘年会のコンテンツとして考えたものだったのです。

この講座では、「フィジカル音源の売り上げ落ち込みが見込まれる中、音楽ビジネスはこれからどうなる?」「Spotifyをはじめとするサブスクリプションサービスは日本で普及するのか?(講座開講当時、ほとんどのサブスクサービスが日本国内で開始されていませんでした)」「ここ数年のフェス現場における”盛り上がり”カルチャーとはなんなのか?」等々、講師も交えた13人で「これからの音楽」について、多角的にディスカッションするというものでした。

参加者を見渡してみると、”音楽好き”は共通するものの、海外エモシーンマニアや、いわゆる邦ロック好き、アイドルヲタにジャニヲタ、メロコア上がり(僕のことです 笑)まで非常に個性豊かな顔ぶれ。せっかくこんなメンバーで行う忘年会なのだから、ただ飲むだけじゃ面白くない、クリスマスも近いし音楽好きらしく”プレゼント交換”をCDでやってみよう!という半ば強引な思い付きで、みんなに提案をしてみたのです。結果として、「CD交換会」は大盛り上がり。3年経った今でも、年数回、柴クラスのみんなで集まる際には必ず行う企画になっています。

初回開催時、ただCDを交換するだけでは面白くないだろうと思って設けたひとつのルールが、この企画を面白くしたのではないかと思います。

「ルール:なぜ自分がそのCDを選んだのかを”熱く”プレゼンする」

企画発案当時、せっかく音楽好きがそれぞれ思いを巡らせてCDを選んできているのだから、ただそれを交換しあって終わり、では味気ないなぁと思ったんです。むしろ、「誰が」「なぜ」「このタイミングで」そのCDを選んだのか、背景にある各々の想い(理由)こそみんなが知りたいことなのでは?との考えにいたり、試しにこのルールを設けてみました。

それぞれが悩みに悩んで持ってきたCDについて語るその”想い”は、CDを受け取った本人の期待を膨らませるだけでなく、受け取ることができなった他の参加者の興味を描き立てるまでになったわけです(かく言う僕も、過去3年間で当たらなかったCDを7枚ほど買っています)。

このメンバーで飲み会をやるときには欠かせない企画となった「CD交換会」。今やCDを交換することよりも、どうプレゼンしてみんなを惹きつけるか、その準備に頭を悩ますほどになり(笑)、このためにみんなで飲み会をやるといっても過言ではないくらい盛り上がるコンテンツになりました。

これから年末〜正月にかけて、音楽好きの友人と忘年会や新年会をする予定がある人も少なくないはず。その際に、コンテンツに困ったらぜひぜひ取り入れてもらったら面白いんじゃないかなと思っています。上記の”プレゼン”に加えて、僕が思う「CD交換会」の面白さを以下にまとめてみます。

①普段出会えない音楽に出会える

「なにを当たり前なことを」という意見が聞こえてきそうです(笑)。読んで字の如くなのですが、少しばかり補足を。今このブログを読んでくれている誰しもが、レンタルCD屋の店内で「このCD(アーティスト)名前くらいは聞いたことあるけど・・・レンタルするのもなんだしなぁ。」と思って結局借りなかったという経験をしたことがあるのではないでしょうか。で、その中には、友達にどんなにオススメされても手が伸びない場合も、実はあるんじゃないかと思います。
ただ、「CD交換会」の場合、音楽好きだと思っている友人の、熱いプレゼン付きでモノそれ自体が手元にくるので「とりあえず聴いてみる」というハードルは、上記の例に比べると格段に下がります。結果として、普段出会わないような面白い音楽に出会える可能性はぐっと高まる訳です(その観点から考えると、参加者は偏った系統の音楽好きで集めるのではなく、オールジャンルから集めた方が面白いです)。

②「レコード屋の楽しみ」を再発見(もしくは実感)できる

この企画は”CD”交換会なので、デジタル音源ではなくCDを買ってこなければなりません。となると多くの場合、参加者はレコード屋に足を運ぶことになります(「オンラインで買ってしまえばいいじゃないか!」という意見もあると思いますが、これまでいくつかのコミュニティでこの企画を開催した結果、参加者全員が自らの足でCDを買ってきていました)。
音源配信やサブスクリプションサービス等の普及で”自らの足で音楽を手にいれる”という経験が少なくなってきているなか、レコード店内を歩き回り、該当の棚を探してCDを手に取る。その過程の中で、店員と話すこともあれば、気になっていたけど忘れていたCDを目にしたり、見たことがないジャケットに心踊ったりすることもあるでしょう。気が付いたら目的以外のCDまでレジで出していることもあるかもしれません(ちなみに「CD交換会「をやると、高確率で買う予定のなかった交換用CD以外のCDを買ってくる人が複数います)。「CD交換会」をとおして、かつては当たり前だったレコード屋でCDを買う楽しみを再発見(人によっては初体験)することができるのです。
今年、Hi-STANDARDが16年ぶりのシングルを告知一切なしでレコード屋店頭のみで発売(後日、通販解禁)したり、Mr.Children桜井和寿がライブで訪問した街のレコード屋にサイン入りステッカーを配布、その店でのCD購入者にプレゼントするという「I❤︎CD shops!」というプロジェクトを始める等、レコード屋を訪問する仕掛けを行なっていることも、こういう面白みの再発見に通じるのかもしれません。

最後に、僕がこれまでの「CD交換会」でもらったものの一部を紹介したいと思います。どれも普段は直接購入はしないものばかりですが、今でも楽しみながら聴いているお気に入りの1枚たちです。

黒木渚「標本箱

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バンド形態からソロ名義になって初めてのアルバム。バンド時代もあまり聴いたことがなかったのだけれど、幼い頃から小説家に影響を受けたという詩的な歌詞に引き込まれました。

The Joy Formidable「Wolf's Law」

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イギリスのオルタナロックバンド。情熱的で重みのあるサウンドとクールビューティーなリッツィの対比が美しい。これをもらったきっかけで知って、この後の作品も全て買っているバンド。

SMAP「Mr.S」

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SMAP、シングル曲はほぼ全部知っているものの、アルバムは初めて聴きました。各メンバーのソロ曲の個性豊かさや、作曲陣の豪華さにハマり、他のアルバムも聴くきっかけを作ってくれました。

 

と、ほかにもまだまだもらったCDは多いのですが、全部紹介していると終わらないのでこの辺で。音楽好き同士なら盛り上がること間違いなしな「CD交換会」。ぜひ試してみてください!

※このブログは、2015年1月にOTOZINE | オトジンに掲載頂いたコラムを一部修正・加筆したものです。

MONOEYES 「Get Up」(Japan)

 

一聴した瞬間、『あぁ、MONOEYESってこういうことをやりたいバンドだったのか』とニヤリとさせられた。10月24日にMVが公開されたMONOEYESの新曲「Get Up」は、MONOEYESというバンドの方向性を示す楽曲となるのではないか。

ミディアムなテンポに、どことなくもの哀しさを感じさせるイントロから始まる楽曲は、Bメロで一気に明るい展開に。この部分で印象的に繰り返されるのがギターのカッティング音。そして、メンバー全員が楽器を抱えて飛び上がるくらいに振り切れたサビでは、シンガロングポイントもあり、盛り上がること間違いなし。

これまで発表済みの彼らの楽曲ではほぼ使用されることがなかたカッティング音と曲の展開に思い出させられたのが、ミシェル・ブランチの「Everywhere」だった。

本来自由なはずのパンクロックは、ここ数年(もしかしたら00年代初期以降から)そこに集う人たちの間にルールや様式が求められるような「ムラ」に変化しつつあり、ある意味で閉じられた社会になりつつあるのではないか。そして、それに耐えきれず、「ムラ」から出て行ってしまった人も少なくはないのかもしれない。

そんな状況にあって、MONOEYESがやりたかったことは、属性なんか関係なく、誰しもが口ずさみ、体を揺らせて踊り、両手をあげて楽しめる王道のロックンロールなんだと、宣言しているのではないかとしたら、それは考えすぎなんだろうか。

「Get Up」のMVの中には、キッズもいればヘッズもいる。着飾った大人もいればお酒やBBQで盛り上がるパリピもいるし、友人同士もカップルも、もしかしたら家族もいるのかもしれない。このパーティーには、この楽曲を聴く人みんながどっかにいる。そんなあらゆるタイプの人たちが一同に集い、踊り、歌う姿と、繰り返される”Just come around(=顔を出しに来てくれよ)”という歌詞に、そういうメッセージを感じずにはいられない。

実は僕自身、最近「ムラ」的なあれこれに少し疲れてしまって(それは年のせいもあるかもしれないのだけれど)、仕事を言い訳にしてライブハウスから足が遠のいてしまいつつある現状にあったりした。ただ、この楽曲を聴いて、『やっぱり顔を出しに行かなきゃダメなんだなぁ』と思い直した次第。みなさん、またライブハウスで会いましょう!

【Fuji Rock Festival 2014】ARCADE FIRE@ GREEN STAGE 7/26

tumblrに投稿していたライブレポをこちらに移しました。

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音楽はそれのみで世界を変えられないかもしれないけど、それを聴く誰かの心に良い波風は立てることができるし、その積み重ねで結果として世界もちょっと変わるかもしれない。

少なくても昨晩、長年待ち望んでいた彼らのライブは期待を上回る素晴らしすぎるもので、今だに余韻を引きずってる。

「Reflektor」でスタートし、「The Suburbs」「No Cars Go」「Afterlife」と、名曲を惜しみなく披露。会場中で湧き上がる歓声と合唱。一瞬、本当にこの国のフェスなんだろうかと疑っちゃうくらいの温度感。(自分も含め)それだけ待ってたってことなんだろうけど。

そして、まさかのYMOライディーン」から大合唱の「Wake Up」へ。アンコールなしのおよそ100分、「これぞ世界」という圧巻のステージでした。


Arcade Fire - Wake Up | Glastonbury Festival 2014

もうね、感想を言うなら泣きながら歌って精も根も尽き果てた、って感じです。僕、彼らを知ったのは決して早い方ではなくて、グラミーとった時なんですよね。それで全部音源聴いてハマって以降、来日は実現せず。とにかくYouTubeで海外の映像ばっかり見てました。

彼らの魅力って多国籍なメンバーがそれぞれのルーツをぶつけあって、一見どっかの国の伝統音楽であるようで彼ら自身唯一無二の曲になってるっていう肉体性、みたいなものだと思ってるんです。そして、それらひとつひとつが形は違えど必ず本能的にステップを踏めるっていう音楽の根っこみたいなものも持ってる。で、それは演奏力だけではなくて、それぞれのメンバーの動きみたいなものもそれぞれその国、その人種特有なものがあるような気がして。

そういうものが見事にライブに昇華されちゃってるんですよね。言葉にできなくて申し訳ないんですが、とにかく「これぞトリ」っていうスケール感が圧巻でした。

あれこれうるさい輩が沸きがちな日本のフェスで、肩車とフラッグが立ち上りみんなで合唱する、そんな日本のフェスの「非日常」を見せてくれた彼らに感謝です。